GOOD DESIG LAB の研究活動により抽出された重要項目を北斗七星理論として集約した。参加企業の事例は、ここにあげた項目に添って解説する。
ビジネスモデルは7つの要素が結びついて全体を構成し、1〜4行程までの質が事業全体の創出価値を決定する特に重要なプロセス。各項目の順序はプロジェクトの特性ごとに異なる場合があるが、ここでは基本形プロセスを紹介する。
a. ユーザー(患者)が症状から適切な診察科を選択することは難しく、長い待ち時間が、患者の負担となっていた。
b. 病院の建替まで約40年。40年後の医療の変化を予測することは困難であり、変化に伴って外来診療科のスペース変更/増築することは困難であった。
c. 少子高齢化が急速に進行する中で、病院として存在理由、経営、人材確保など、どのように独自性を構築するかが大きな課題であった。
a. 従来医師別だった診察室を、フリーアドレス/共有化した。
b. 医師個人の部分最適解ではなく、全体最適のみを仕組み構築の指針とした。
a. サインインした状態をキープした電子カルテを用いて移動時間のロスをカット。
b. 導入当初のユーザーの不満は、人海戦術で対応することで解決。
c. 予約/予約の変更は全て電話で対応する。
来院は1時間前からのみ受付開始で混雑を緩和し、患者負担を軽減、待合室の省スペース化を実現。
コールセンターは当該業務の後、介護業務の打ち込みに移行し介護士の負担を軽減。
d. 各科外来の看護師を病棟や中央処置室など専門性を活かせる場所に配置し、総合受付付近にはトリアージを行う看護師を配置。
a. 経営トップによる、数十年という長期の視座、時代の変動があることを前提とした着想/起案。
b. 経営トップが決裁を行うと他の選択肢は消えてしまうため、選択肢を残す意思決定により軌道修正の余地を残しながら参加型(納得)設計を行った。
a. 医師個人の最適解を優先採用していれば、他の医師に覆されてしまう。
全体最適解を採用したことで無駄がなくなり、フレキシビリティを確保したことで長期運営の基礎を形成した。
b. コールセンター要員や看護師等、ユニバーサルレイアウトに付随して人材の配置も効率的に変更している。
a. 患者は高齢者が多く、予約/予約の変更を電話で受け付ける方針は、現時点で最適のコミュニケーションデザインである。
b. 診療という行為もコミュニケーションの一環であり、複数の診察室を移動していた従来の状態と比較すれば、負担の軽減、診察の効率化、医療の高度化、信頼などの点で革新的なイノベーションである。
a. 全ての病院に応用できる可能性がある。
また専門性が求められる相談業務の効率的な提供
待ち時間をユーザーに強いているビジネス等にも応用可能である。
b. 更に履歴の電子化に伴う運用ノウハウや運用ソフトの販売/サーバーのライセンス業も需要が見込める。