北斗七星理論による分析:P-TOUCH CUBEF

1 課題抽出 企業が抱える問題、社会的課題、ポジティブ要素も広く調べて要素を抽出。

ラベルプリンターのシェア率獲得 ラベルプリンター=キングジムの「テプラ」の認識が定着しており、ブラザーの日本シェア率は低かった。

当該ラベルプリンター開発には「シェア率の獲得」という命題が課されていた。

2 基本設計 コンセプトの立案。抽出した課題がwin-winの関係となるアイデアを築く

斜陽ジャンルからの脱出 ラベルを貼る対象であるペーパー/ビデオ等は現代では減少している現状と、ラベルプリンターという商品は10年以上変化のない事務機器ジャンルであり、「ゲームを変える」必要があった。

従来品との差別化 既にオフィスに存在するラベルプリンターとシェアを争うのは非効率である。
「ゲームを変える」とはラベルプリンターのない場所にシェアを見出すことが必要となる。

3 詳細設計 ビジネスを構成する具体的作業。製品、サービス、知財、収益獲得の計画と実施

マーケティング調査 調査の結果、30代から40代の主婦が、子供の入学に当たって、所持品にラベルを大量に付ける必要があり、その際に多大な苦労をしていることがわかった。

操作性の改善 ユーザーはラベルプリンターに、仕事用の事務機器であり、ごちゃごちゃしてわかりにくい、というイメージを抱いていた。
→ ラベルプリンター本体に操作部を設けず、スマートフォンから文字情報を入力できるようにした。

生活空間のためのデザイン 生活空間(リビング)に置くことを前提としてラベルプリンター本体を白いキューブ状のデザインとする他に、主婦の「整理収納への欲求」や「豊かな暮らし」へのニーズを達成するためのデザインを重要視した。

情緒的価値の創出/伝達 「豊かな暮らし」は「情緒的価値」にあると考えた。
ラベルのフォントをデザインし、ラベル自体も布地やラメ入り等、質感を選択できるようにした。オシャレなラベルの活用法について、スマートフォンのアプリから定期的に配信することで、情緒的価値を伝達し、当該ラベルプリンターのファンをつくることに注力した。

従来技術の再構築 本ラベルプリンターはユーザーのニーズに対して徹底的なヒアリングを行い開発しているが、本質的に新しい開発はなく、従来技術の再構築/応用によるものである。

4 決断 ビジネス化の是非を誰がどのように決めるかプロセスにも新規性が求められる。

根拠としてのジャーニーマップ 商品の方向性については、徹底したマーケティングが用いられた。
ユーザーのサンプルストーリー構築のため、アプリやラベル等、実物を見せながらヒアリングすることで、確度の高い情報を取得。それを基に、ジャーニーマップを作成しながらステータスを抽出、仮説を組み立て、決断を下すための根拠を十分に取得していった。

5 人材・組織 プロジェクトの参加者、意思決定者、協力事業者に適正な役割や関係性をつくる。

デザイン成果物による社内での価値観の共有 「情緒的価値」をユーザーまで伝達するためには社内の人間/販売をする代理店にも、価値観を共有する必要があった。
→ 商品のコンセプトブックを製作した。
  アプリ掲載のコラムにもプロの監修を受けている。
→ ラベル単体では「豊かな暮らし」は実現せずラベルとモノの  組み合わせが価値になるため。

6 販売・ユーザーとの関係 企業が提供しユーザーからフィードバックされる情報価値が市場形成の鍵となる

コミュニケーションデザイン 「ゲームを変える」ことは、商品の価値をゼロから理解してもらう必要があることをも意味する。
新しい価値観を伝えるのは困難であり、伝えても元の価値観に戻る。
そのため継続的に高品質なコミュニケーションデザインを行う必要がある。

伝達のマネジメント 展示イベントを開催し、実際にギフトラッピングを体験してもらった。
雑誌の広告。
丸の内のショップに1ヶ月間、展示販売。
さまざまなメディアから高評価。
→ 一つ一つ徹底的に監修/マネジメント

広告塔としてのユーザーを活用 ラベルプリンターのユーザーがインスタグラムでラベルの使用例を掲載した。高クオリティの写真が多く、新しいファンを作るきっかけになっている。

7 展開性 業界に与える影響、投資、展開プロセスの計画と事業展開後の柔軟な状況判断が将来性を決める。

商品開発ノウハウの取得 既存商品であっても丁寧に企画開発すると、新しい需要を喚起し、市場開拓をすることが出来る経験から、社内の開発手法が変わり得る。
→ これが絶対普遍の方法ではなく、「外部環境の変化への対応が必要」「開発の方法論は都度見直すことが必要」
「商品企画」「開発/デザイン」「営業販売」の各部署は、それぞれ異なった縦割のフェーズとして存在しているが、今回の開発により総合マネジメント部署/人事の社内意義が明瞭になり、高いユーザーバリューを持つ商品開発を行うノウハウが見出すことが期待される。