北斗七星理論による分析:JAHBnet

1 課題抽出 企業が抱える問題、社会的課題、ポジティブ要素も広く調べて要素を抽出。

「地域工務店」対「大資本ビルダー」 自社に限らず「地域工務店」が建てる住宅が、大手ビルダーの資本力/技術力に対抗し、商品価値を維持するためには、地域工務店同士が協力して、商品(住宅)価値を高める必要がある。地域工務店が倒産することで住宅のアフターフォローが受けられない、という価値観が形成されないよう、地域工務店の経営の安定も、業界のためには必要だと考えた。

2 基本設計 コンセプトの立案。抽出した課題がwin-winの関係となるアイデアを築く

コスト計算/経営管理システムの販売 住宅の費用見積は、従来曖昧な基準/膨大な時間をかけて作成されていた。当該計算をシステム化。経営管理を複合させたソフト(ノウハウ)を、自社で独占せず商品として販売した。

フランチャイズではないネットワーク型ノウハウの共有形態 情報共有により地域工務店ごとの弱点を克服し、顧客サービスを向上させた。自社の会社規模の拡大/利益を追求せず、地域工務店業界全体の底上げが重要である、という相互援助の思想を基に、始められ、フランチャイズの性質を持たないビジネスモデルの構築。

3 詳細設計 ビジネスを構成する具体的作業。製品、サービス、知財、収益獲得の計画と実施

情報の共有により解決するべき従来工務店の課題の認識 ①旧態依然な建築技術/②提案力の欠如/③品質管理体制の未熟さ④根拠脆弱な価格設定を克服すること上記を解決することで、大資本ビルダーのメリットと拮抗することを課題として設定した。

ノウハウ共有の『場』を設立 地域特性・技術力・デザイン力・営業力・企画力等、ノウハウを共有するための『場』としてJAHBnetを設立。

直接的な収益を求めないノウハウの共有 自社の規模拡張により全国進出をするのではなく、各地に適応した地域工務店の突出したノウハウを共有することで、それぞれの地域工務店が高い品質を確保していく。
この循環の結果、日本の地域工務店全体の価値がユーザーに認知され、最終的に自社の事業継続性を獲得する、直接収益を目的としないブランド構築ネットワーク。

厳密なマニュアル化の回避 共有されたノウハウをマニュアル化して参加工務店に徹底することはせず、どのノウハウを実施するかは各工務店ごとの判断に委ねた。

仕入れコスト/倒産リスクの分散 仕入れを共有することで、コスト軽減を達成。
「地域工務店が倒産した場合、複数の工務店が継続的に補完するシステム」を開発し、ユーザーの懸念事項を解消
→ 地域工務店の弱点の一つを克服した。

4 決断 ビジネス化の是非を誰がどのように決めるかプロセスにも新規性が求められる。

トップダウン コスト計算システムの販売/ノウハウ共有の場の設立共に、代表の意志。
「工務店はこうあるべき」という理念/価値観によるもの

5 人材・組織 プロジェクトの参加者、意思決定者、協力事業者に適正な役割や関係性をつくる。

250社の参加工務店 1998年に発足したJAHBnetは、現在全国に250社の工務店が加盟しており、1年間7,000棟の規模で情報を与える規模のコミュニティとなっている。

地域ごとのリーダー工務店 全国各地にリーダー工務店が生まれ、その実践情報を先導教示できる状態となった。
ノウハウが一極集中することのない、「各工務店同士が繋がる」という基本構造に則った進化形態。

6 販売・ユーザーとの関係 企業が提供しユーザーからフィードバックされる情報価値が市場形成の鍵となる

役割を固定しないネットワーク構成 ノウハウを提供する側/提供される側が都度変更するフレキシブルなネットワーク。
地域ごとの参加工務店数の上限を設けず、地域ごとにリーダー工務店を設ける規定も特段ない。工務店ごとの自発的なノウハウ提供を共有するネットワーク。

「JAHBnet」というブランド JAHBnetに参加している地域工務店と大資本ビルダーの住宅は、価格/品質/サービス共に、近しいものとなっており、ユーザーは「JAHBnetに加入している地域工務店であれば安心」という認識を 持つに至った。

責任者=一個人 地域工務店の代表や施工者(大工)は、人の流動性が低く、ユーザーの住宅に問題が発生した際には、施工の経緯を知っている個人が、責任を持って対応することが可能である。

7 展開性 業界に与える影響、投資、展開プロセスの計画と事業展開後の柔軟な状況判断が将来性を決める。

更なるノウハウの蓄積 活動を継続するほど、ノウハウが集積する仕組みであり、トライアンドエラーの情報も細やかに収集可能。地域ごとの差異についてもヒアリングすることが可能。

正確なニーズの収集/開発 各地域工務店がユーザーのニーズを直接ヒアリング/解決策を模索し、そのノウハウを共有する。サービス商品の開発について、正確なマーケットインかつ重複をせずに済む、無駄のない方法論。

デザイン要素について ノウハウの共有について、自社をトップに置いたフランチャイズ形式を採用せず、自社と他社を並列としたビジネスモデルをデザイン要素と考えることも可能だが、ここでは、将来的に完成する優良なデザインの家屋を、デザイン要素として認識する。