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はじめに

従来のモノやサービスの単独単独価値の低下は誰もが危機感を持つ時代となり、ユーザー視点のによる価値の創出または企業の存在価値を高めるための事業戦略が必要とされている。しかし、現場では実際にどのように実行すればよいのかを把握できず、手探りでトライアルしているのが実状である。また成功した企業においても、イノベーションの成果を企業自身で様々な角度から評価する方法を構築するには、膨大な時間と労力が労力必要なため成果の社内浸透が難しく、評価方法の確立が望まれている。イノベーション達成のためには、これらの情報を企業同士がシェアし、活用することが効率的である。

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Good Design labとは

グッドデザイン賞受賞者によるケーススタディ研究会

受賞事例をより深い情報で解剖し、デザインアプローチによる開発手法と評価手法を研究する。本研究の成果を多くの企業が今後の開発に活用し、効率的なビジネス化の支援となることを目的とする。

研究会開催形式

第1期 GOOD DESIGN LABは、受賞企業6社が参加し、2016年11月から4月にかけて全6回開催した。第2期は、受賞企業4社が参加し、2017年11月から3月にかけて全4回開催した。
研究会は、前半90分間で1社企業のプレゼンテーションと、後半90分は参加企業全員で前回プレゼンテーションの企業事例に対して討議するという構成で行われた。

PROCESS

プレゼン

企業による深掘りしたプレゼンテーション
長時間に渡るプレゼンテーションを通して、グッドデザイン賞応募の申請時には語られなかった開発プロセスにおけるリスク回避や採算に対する思考や決断の情報を具体的に共有。

解剖

参加メンバー全員でデザインアプローによる解析
参加企業メンバー全員による様々な視点から、イノベーションの成果を解析・評価。事例発表企業には、プロジェクトの価値を再評価できる新しい発見となる。

見える化

開発手法と評価方法の構造化
多様な事例情報の集積により、モノづくり産業のビジネスモデル・モノが介在しないビジネスモデルなど様々なケースに共通する普遍性共通する、分野ごとの特性を発見し、ビジネスモデルのデザイン手法を見える化する。

FACILITATOR

profile-hidaka
日高国際特許事務所
所長日高 一樹
デザイン・知的財産権活用ストラテジスト
日高国際特許事務所所長 弁理士
知的財産権侵害訴訟代理人

通商産業技官、特許庁意匠審査官、通商産業省課長補佐を経て、1990年日高国際特許事務所設立。九州大学大学院、武蔵野美術大学、東京理科大大学院、芝浦工業大学等の非常勤講師、経済産業省ブランド戦略委員、特許庁産学連携デザイン契約委員長等、グッドデザイン賞審査委員を歴任し、現在、京都工芸繊維大学特任教授、東京芸術大学大学院、金沢美術工芸大学非常勤講師、(社)日本デザインコンサルタント協会監査役、グッドデザイン賞フェロー、東京ビジネスデザインアワード審査委員などを務める。
 人間的・社会的価値創出によるモノ・コトを組み合わせた新たなビジネスモデルが求められている。この価値創出にはデザイン的な思考が不可欠である。しかし実際のビジネスモデルではデザインの役割や活用方法や経営判断も難しい。必要となるのはビジネスモデルを構築するための方法論、経営判断のための評価軸である。
 これらの課題に対して、グッドデザイン賞の優れた受賞事例を分析し、要素や事業構造を明確にし、ビジネスイノベーションのための方法論・評価軸を明示することが本研究会の目的である。事業構造全体のなかでデザインはどのように活用されているのか。デザイン的な思考と従来の表現的デザインの関係性やこれらと様々なビジネス構成要素の連携構造を探る試みである。
 研究会に参加頂いた企業の皆様及び関係者各位に心から感謝致します。  
profile-hirota
ヒロタデザインスタジオ
代表廣田 尚子
ヒロタデザインスタジオ代表. デザイナー.
女子美術大学教授 多摩美術大学客員教授


東京芸術大学卒業 1997年ヒロタデザインスタジオ設立。自社製品ブランドを立ち上げ海外百貨店やセレクトショップへ卸販売。製品開発の上流から下流までを自社運営した経験に基づき、企業クライアントの開発コンサルタント・製品デザインをトータルディレクションする。グッドデザイン賞ビジネスモデルユニット長、東京ビジネスデザインアワード審査委員長を務める。2014年RED DOT DESIGN AWARD、2015年グッドデザイン賞、2016年IF Design賞、REDDOT DESIGN AWARD、グッドデザイン賞他。
 グッドデザイン賞応募件数は4000件を超え(2017年)、生活・経済・社会の質を高めるデザインの価値は、広く認識されている。しかし多くの企業にとってデザインで製品価値を高めるだけでなく、ビジネス全体をデザインすることへ視点を飛躍するのは容易ではない。一方で、2017年のグッドデザイン賞ビジネスモデル分野の応募は、前年に比べて約150%の応募増となり、2016年に引き続き大賞候補・ベスト100など、上位の賞をこの分野から数多く受賞している。イノベーティブな受賞事業では、豊かなアイデアによってWin-Winとなる仕組みを構造的に設計し、協業パートナー・技術・コミュニケーションを的確に構築し、クリエイティブなマネジメントによって組織の最適化を徹底することで解決に至っている。参加企業の事例を深掘りし、デザイン的アプローチによる解剖・見える化は、広い分野の企業経営層や開発現場の人に、直感的で活用に足る資料となると信じている。そのため、事例の見える化においてはビジネス用語を控え、開発の現場で使われる表現でまとめるよう努めた。第1回の開催を終えて、参加企業の皆様と関係各社にご理解とご賛同を賜りましたことを心から感謝申し上げます。
Good Design Lab. 開設にあたって
公益財団法人日本デザイン振興会
 グッドデザイン賞は、デザイン活動の宝庫です。しかしその多くは、残念ながら「原石」のままのようです。受賞の成果を企業経営に大きく活かしていくためには、その原石を磨き上げ、ビジネスや技術開発の戦略的武器に育てていくプロセスが欠かせません。しかしこれを単独の企業だけでおこなうことは、難しいと考えます。  そこでグッドデザイン賞は、受賞された企業同士が、受賞の成果を交換し、成功への鍵を探求してく標記研究会を発足させることにいたしました。

ここでは、まず参加企業が自社の受賞事例を発表する、その事例を参加者それぞれの視点から紐解き解剖していきます。参加者相互の知的交流を通じて、受賞事例は大きく輝き始めるはずです。おそらく自社内で経営的視点からデザインを活用していく方策が発見できるものと思います。さらにここで見つかった成功の秘訣を、「形式知」として一般化させていくことも可能でしょう。

 この研究会では、こうした成果をケーススタディレポートにまとめます。このケーススタディレポートをテキストとしたセミナーやワークショップを展開していくことで、多くの企業やデザイナーの方々に、デザインを活用していく思考に気付く機会を、より広く提供していきます。

 グッドデザイン賞では、自らを「発見」「共有」そして「創造」のプロセスを循環させる装置と定義しています。審査は価値「発見」のステージ、デザイン展などの広報活動は「共有」を求めた活動です。そして標記ケーススタディ研究会の活動は、「共有」そして新たな「創造」を求めた機会づくりです。
 受賞企業・デザイナーの皆様の参加をお待ちしています。