ビジネスモデルを構成する7つの要素北斗七星理論

GOOD DESIG LAB の研究活動により抽出された重要項目を北斗七星理論として集約した。参加企業の事例は、ここにあげた項目に添って解説する。
ビジネスモデルは7つの要素が結びついて全体を構成し、1〜4行程までの質が事業全体の創出価値を決定する特に重要なプロセス。各項目の順序はプロジェクトの特性ごとに異なる場合があるが、ここでは基本形プロセスを紹介する。

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北斗七星理論による分析:あすのはね

1 課題抽出 企業が抱える問題、社会的課題を広く調べて要素を抽出。抽出要素の深掘りがアイデアの軸となる。

a. SRIへの関心/ニーズは存在するが、SRIの観点は時代と共に移ろう傾向がある。

b. ユーザーはSRIや社会貢献を希求していても、特定の社会問題にのみ着目しているケースは少なく、また時代と共に発生する社会問題を把握しきれない課題があった。

c. 投資信託商品において日本では個人向けのSRI社会貢献ファンドは存在しなかった。

2 基本設計 課題に対して人間的価値からアプローチ(デザインアプローチ)

a. 投資対象を特定のテーマに限定しない、
社会の時勢に沿った課題に着目するSRIの新設。
→ 特定の社会問題の隆盛に影響を受けない、長期スパンの運営が可能になる。

b. 多角的な社会貢献として収益の一部を、社会的課題に無償で取り組む団体へ寄付。
→ SRI投資のみでは届かない社会貢献活動が可能になり、社会貢献に強い関心を持つユーザー層のニーズを喚起する独自性を獲得。

3 詳細設計 ビジネスを構成する要素の具体化。製品デザイン・サービスデザイン・知財・収益獲得の計画と実施

a. SRI投資先企業の選定のため、専門調査機関の協力を得て企業価値を格付けする。

b. 寄付の運営は「あすのはね寄付先選定委員会」という個別組織により行われ、各年度の寄付先や寄付金額は、運用報告書にて開示し、客観性/透明性を徹底。 → 寄付が当事者に届いているか/不当なマージンを取られていないかは、ユーザーの懸念の1つである。資金を預かるファンドとしての社会的信用に加え、寄付金が健全に運用されていることを明示することで、ユーザーニーズを的確に満たすことに成功している。

4 決断・意思決定 ビジネス化の是非を誰がどのように決めるかが事業体質の根幹を決定する。プロセスに新規性が求められる。

テーマを定めないSRI投資とは、運用している投資会社が、社会時勢のピックアップを適切に行うことが前提条件となる。 また寄付は本来、ユーザーへの還元率を下げる行為であり、商品の希求力を落とす可能性も当時懸念されたと考えられる。 → 上記を踏まえて当該投資信託を開始したのは、ユーザー需要の読み取りの巧みさと、経営決断に他ならない。

5 人材・組織 従来の縦割り組織を横組みにする人材の起用と組織設計がプロジェクトの成功を左右する。

a. 当該投資信託を提案する人間と、その価値観を受容する組織が形成されている状態。

b. 投資先企業の選定/寄付の運用に第三者機関を採用することで、客観性/透明性の根拠とした。

6 コミュニケーションデザイン 事業の意図と質を伝えユーザーの信頼を培う役割。企業とユーザーが双方向となる設計を目指す。

a. 企業価値分析を格付けという形で定量化した点。更にはその算出方法を、「競争優位性」と「事業の魅力度(=社会的課題への取組み具合はどうか)」と明確に定め、マトリクス図として表現していること。

b. 寄付金額と具体的な内容を運用報告書やホームページで明示している点。

c. 16年超の運営実績と各アワードの受賞を広報し、信頼の取得に努めている点。

7 将来性・展開性 事業が業界に与えた影響を分析し、投資展開プロセスの計画に対する柔軟な状況判断が将来性を決める。

当該ビジネスモデルは商品価値を人間的・社会的価値に設定し、かつ16年の運営 実績がある点に、大きな価値がある。
【信頼できる誰か】が【客観的かつ適切な判断】で【代行してくれる】状態は、利益を追求する投資信託であれば特別なことではないが、本ビジネスモデルにより、ユーザーは人間的・社会的価値/社会貢献の【代行】も求めていることを証明し、かつ朝日ライフがその需要を達成するノウハウを完成させていることを証明している。
本事業の確実な拡大/人間的・社会的価値に希求した新商品展開が見込まれる。